大学入試で求められる英語力とは?
答えは進路や学ぶ学部によって様々ですが、1つ挙げられるのは、入学後に各専門分野の文献を英語で読む力です。
多くの理系学部では、英語による大量の文献を読む必要性があります。
また文系の学部でも日本のマーケットが縮小していく中で、「英語ができるか否か」が大きく就職や将来的な進路の選択肢と関係してきます。
大学はその基準にかなう学生を選別できるような学力試験を受験生に課してきます。

「ぶ、文献??読んだことない・・・。ましてや英語なんて・・・。」
「う~ん、難しそう・・・。」
確かにこう聞くと不安になってするかもしれません。
もう少しかみ砕いて言えば、大学入試で求められる英語力とは、目の前の文章を正確に理解する力、論理的に正しい解釈・解答に辿り着くことができる力だと言えます。専門分野文献を読む上で英文の理解が正確でないと、当然ながら学問を身につけることができませんからね。
では実際に一文みてみましょう。

この英文を訳してみましょう!

はい!タイムアップ!!できましたか?
例えばこんな解答をする方がいらっしゃるかもしれません。

「子供たちの読解力を向上させることができる親がたくさんいる。」
果敢に訳してくれて素晴らしいです!!ただ、この訳は残念ながら正解ではありません。
用いられている単語は難しくないはずです。ではどこを間違えてしまったのでしょうか?

There is muchまでは何の問題もないのですが、There is much parentsまで読んで、「たくさんの親がいる」と訳出してしまうとNGになってしまいます。
なぜ「たくさんの親がいる」だとダメなのか?
実はmuchは可算名詞を修飾することができないのです(語法:much+不可算名詞、many+可算名詞)
まずは正解から。
「子供たちの読解力を向上させるために親ができることはたくさんある。」
ここで私が重要だと考えていることを2点お伝えします。
①文を正しく解釈するためには語彙力だけでは不十分である

このような考え方は非常に危険です。
思い返してください。大学入試に求められる力は何ですか?
そうです。
目の前の文章を正確に理解する力、論理的に正しい解釈・解答に辿り着くことができる力でしたね。これには英文法の運用能力が必須となります(✕文法を知っているだけ)※ただ、最終的に合否の差の一因となるのはやはり語彙力です。軽視せずたくさん覚えていきましょう。。
②速読は精読練習の賜物である。
少し話が単語にそれましたが、目の前の文章を正確に理解する力、論理的に正しい解釈・解答に辿り着くことができる力のお話に戻ります。単語の話の前に「英文法を運用能力」が大切だとお話ししました。ただ、こうお話しすると

「速読の練習したいのに、毎回文法や文構造考えなきゃいけないの??」

「ネイティブって文構造とか考えて読んでないじゃん!」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大きな誤解です。速読の定義は「文構造を素早く把握し文意を解釈すること」です。
そうでなければただ読み飛ばしているにすぎません。
では、ネイティブはどうやって速く読んでいるのでしょうか。
答えは単純で、英語を母語としない人よりも数倍速く文構造を理解しているのです。
日本語の環境にどっぷり浸かっている我々にはなかなか実感が難しいかもしれません。
ただ、練習すればするほどみなさんが周りの受験生と差をつけることができるスキルとも言えますね。
少し先ほどの問題に戻って確認していきましょう。

文法・文構造を無視してしまうと、「子供たちの読解力を向上させることができる親がたくさんいる」と訳してしまうのです。
ここで英語が得意な人と得意でない人の思考の過程を見てみましょう。





ようするに【much単独で、「多くのもの」という名詞の意味があり、それを関係代名詞の省略を伴いながらparent can doが修飾している】という構造なのです。
よって、この英文の正しい訳は「子供の読解力を向上させるために両親ができることがたくさんある」となります。
こういった「英語が得意な人」のような思考力を身につけるのは、自力のみだとかなり大変です。なぜなら、人間は環境が大きく変わらないと自分の思考の癖を脱却できない傾向があるからです。
私たちの英語の授業では、少人数授業ということもあり、まず講師が「〇〇さんは関係代名詞の省略が苦手な傾向がある」「□□くんは、接続詞の訳し方を形じゃなくて強引に意味だけで捉えようとする癖がある」などの生徒の傾向を細かく把握しています。
その上で1回の授業中に少なくとも5~10回程度は各生徒に、思考プロセスや「なぜそう訳したのか?」を聞いていきます。もちろん、質問された以外の生徒もリアルタイムで「えっ?なんでその訳になるんだっけ??次私にあたったらヤバイ」のような緊張感を持って授業に臨めます。
そうすることで「英語が苦手な人」の思考から「英語が得意な人」の思考に自然となることができるのです。
では先ほどの問題ができた人もそうでない人も、もう1問やってみましょう。
東京大学の問題です。

ここでは、In the examples I am talking of the person continues to behaveまでの和訳にチャレンジしてみましょう!

いかがでしたか?

✕「その例において、その人が~なふるまいをし続けていることを話しているのだ」
上記の文構造の解釈をしていくと、am talking(動詞)の後ろに再びcontinues(動詞)が接続詞もなく続いてしまっています。

◎「今話題にしている事例では、その人物は~なふるまいをし続けるのである。」
下線部全体の和訳を載せておきます。
今話題にしている事例では、その人物は、たいがいの人なら正常だと認めるようなふるまい方ではあるが、しかし、以前のその人とはあまりにかけ離れているので、その人の知人にはまったく別人に見えるようなふるまい方をし続けるのである。
いかがでしたか?
新塾ではこのように「単なる読解・和訳」ではなく「論理的思考からの解答作成」を重視し、授業を展開していきます。
また、一つのことを一度やっておしまい、ではなく、今回のように類題を織り交ぜて定着を図ります。
※お気づきかもしれませんが、今回の和訳に指定したIn the examples I am talking of the person continues to behave以降もかなりの難易度です(気になる方はぜひ体験授業にいらしてください!)
繰り返しになりますが、大学入試に挑む皆さんに求められている英語力とは、目の前の文章を正確に理解する力、論理的に正しい解釈・解答に辿り着くことができる力です。
この場では読解に焦点を当ててお話をしてきましたが、当然(レベル差はあれど)ライティングやリスニングを課す大学もあります。
新塾では、みなさんの学力・志望校・出題形式にに合わせて指導をさせていただきます。