国語の強み

現代文

現代文では、①本文に書いてある意味を正確に把握する読解力②設問の条件に応じて根拠を見つけ出す解答力の2つの力が重要です。個別的にみていきましょう。

読解力でまず必要なもの→文章をイメージする力

現代文の冒頭が「次の文章を読んで、次の問いに答えよ。」となっている以上、まずは本文を読んで理解すること必要です。

その力が読解力です。

ほとんどの皆さんは小学校の国語はすらすら理解していたと思います。それがいつのまにか難しくなってしまった。

現代文のどこに難しい要素があるのかを小学校の教科書を紐解き、根本から迫ってみます。

まずは小学校1年生の教科書から

おうむが木の実を食べる写真と共に文章が展開されています。

これならば、本文に書いてある、「おうむ」、「まがったくちばし」、「かたいたね」がどういったものであるか写真によってすぐ具体的にイメージできます。

では次に小学校6年生の教科書です。

小学校1年生に比べると、「リサイクル」、「省エネルギー」、「追い付かない」、「地球の資源」など、1年生の教科書に比べて抽象的な語彙が増えています。

たとえば小学校1年生に「地球の資源」といっても「地球の資源ってなあに?」となってしまいます。

私たちは様々なニュースや自分の体験から「地球の資源」→「石油、石炭、液化天然ガス、木材、鉄鉱石etc…」とすぐに具体的なイメージが想起できるので、理解に差し支えはありません。

それでは次に実際の大学入試の実際の問題を見てみましょう。

大学入試の実際の問題

「暴力の他者の客体化」「ケアの倫理」「他者を客体化してしまうこと、すなわち暴力的な主体であることを禁じる倫理」ってなんだ??と印象を抱くと思います。

つまり、具体的なイメージを思いう浮かばないのです。

小学校の教科書とは大きく違いますね。

大学入試では、こういった抽象的な概念を理解する力が求められます。

以上で現代文の難しさのイメージがある程度つかめたと思います。わかりやすく現代文の難しさの要素を下にまとめてみます。

現代文に必要な力
読解力解答作成力
①語彙力なんとなく解答することからの脱却。なぜその解答にしたのかの理由を明確にして解答する。
②抽象的思考力
③文のつながりの把握力

①現代文に必要な力その1|語彙力

先ほどの入試問題の「暴力の対象を客体化」に関して、そもそも「対象」や「客体化」の意味が解らなければ、文章を理解することができません。

ただ、語彙力といっても辞書の意味をそのまま記憶しておく必要はありませんし、予備校講師の私もすべて辞書的な意味で記憶しているわけでは当然ありません。

語彙力とはその言葉からイメージが浮かぶことです。

ちなみに私は対象というとこういうイメージが浮かびます。

アーチェリー

何かを狙っている様ですね。

対象を辞書(日本国語大辞典)で引くと「目標となるもの」とあり、イメージに合ってます。

また「客体」の意味を考えていきましょう。

「客体」⇔「主体」ですよね。私は「客体」というとこんなイメージが浮かびます。

主体客体

客体を辞書で調べると、「主体の意思や行為の対象となるもの」

この絵でいえば、

主体…頂上の旗を見ている「サラリーマン風の男性」

客体…男性から見られている「頂上の旗」

ということになります。

また、客体の説明に「主体の意思や行為の対象となるもの」とあるように、対象と客体はかなり近いイメージです。

先ほどの絵に置き換えれば、弓矢を引いてる女性が主体的が客体にあたります。

アーチェリー2

以上から、さきほどの難解な入試問題の「暴力の対象の客体化」というのは、「暴力をふるう相手を、自分とは別の存在と認識すること」くらいに理解できるのです。

その言葉からイメージが浮かぶこと、それが実際に使え、入試でも得点につながる語彙力なのです。

語彙力の鍛え方

語彙力の鍛え方は主に2点あります。

問題を解くなかで具体的にイメージが浮かばなかった語を調べ、イメージをつかむ→おススメ!
テキストを作成しているからこそ、過去問研究に精力的に取り組むことができます。

以下簡単に解説します。

①問題を解くなかで具体的にイメージが浮かばなかった語を調べ、イメージをつかむ

問題を通して分からなかった言葉は「このくらいの語彙は入試で必要なんだ!」という意識も高まるので、覚える優先度が高いです。

ただ、この方法に関しては、これをすべて問題集で行うのは無理があります。

なぜなら問題集は実際の入試に出される難易度の高い問題は避け、かなり簡単な問題のみを選んでいる傾向が強いからです。

問題集では、紙面と使用できる色が限定されるという都合もあって情報の伝達手段が限定される結果、正しく情報を伝えられないという側面があります。

特に思考力に依存する現代文という科目で、実際の入試に出される問題のレベルを扱ってしまうと、問題の伝達度に限界があるため、クレームになってしまう。

だから、特に簡単な問題を選んで、受験生に解ける!という感覚を与えることに終始している問題のみを掲載しているケースが目立つのです。

たとえば、実際の早稲田大学の入試問題の難易度を10だとしたら、問題集では6~7程度の難易度の問題のみを意識的に掲載しているケースがほとんどです。

よって、問題集のみで練習していると…

実際の過去問に なると解けない

というギャップが発生してしまいがちです。

以上の理由から二次試験で国語がいる人は、なんらかの授業を取ることが安全だと思います。

② 漢字問題集をやる

最近の漢字問題集は漢字の横に意味が書いてあるので、辞書を引く手間も省けておすすめです。

ただ、漢字9割を安定している生徒や、特に語彙力に不安がない生徒まで問題集をやるかどうかはコスパと言う点では少し効果が上がりにくいかもしれません。

「国語が二次試験や私大で問われ、漢字の得点率が9割以下である、語彙力に不安がある」そういう生徒にお勧めです。

漢字の配点は相当に大きく、例えば関西学院大学は配点と正解を公表しているのですが、75点満点で漢字だけで23点もあります。

約30%が漢字!

関東の大学ではここまでの配分の大学はないのですが、それでも漢字を落とすと致命傷になりかねません。

9割は得点できるようにしておきましょう。

②現代文に必要な力その2|抽象的思考力

もちろん語彙力を鍛えただけでは、入試現代文に耐えられる抽象的思考力は鍛えられません。

たとえば、中学2年生に辞書ありで大学入試現代文を解かせても、理解に限界があるのは明らかでしょう。

それでは抽象的思考力を伸ばすのはどうしたらいいのか。それは…

抽象的な文章の内容を具体例をイメージしながら読む!

さきほどの「暴力の対象を客体化」ということでいえば、

といったように「抽象的なものを具体的な例に置き換えて理解する」ことが大切です。

の置き換えの訓練が肝心だということです。ですが、やはりこの抽象的な意味の解説も問題集では限界があるところです。

文字しかありませんし、生徒との対話ができないからです。

よって、抽象度の高い文章は問題集ではほとんど扱われず、入試に対応できないというギャップが生じるのは先ほど指摘した通りです。

③現代文に必要な力その3|文のつながりの把握力

現代文には、つながりが深い文相互の関係があり、それを見抜くことで文章理解が向上します。

たとえば、現代文の本文で重要なのは具体例の前後の抽象箇所であり、具体例自体は重要性が低い情報です。

以下は2019年のセンター試験の本文からの抜粋ですが、

現代文では、具体例は重要性が高くなく、具体例の前後に書いてある抽象化された箇所が重要となります。

赤線を引いた箇所が「翻訳において訳しにくい表現」の指摘であることがわかります。

このように段落構造を上記の図のように見抜ければ、その意味で、5段落から7段落の冒頭まで、この筆者は「翻訳において訳ができない表現はたくさんあること」のみを伝えたいのだと本文をすっきりと整理して理解することができます!

そしてこの力をつけるためには、本文の結びつきについてしっかり書いている問題集or講師に本文全体の構造を教えてもらいつつトレーニングするのが一番です。

以上読解力をまとめると

読解力まとめ

解力とは文章を正確に読む力→文章をイメージしながら読む必要がある文章をイメージするには→①語彙力②抽象的思考力③文のつながりの把握力が必要

語彙力=言葉からイメージが浮かぶように練習
抽象的思考力=抽象的な内容から具体的な例を想起しながら読む
文のつながりの把握力=問題集か講師による練習を積む

解答力(解答プロセスの充実)

読解力をもとに本文を正確にイメージし理解した後には、設問条件に応じて本文の根拠を見つけることが必要です。

それが解答力です。

これが大切な理由の1つは、難関大学において消去法では対応できない問題は頻出するからです。

具体的に見ていきましょう。

この問題は青山学院の問題ですが、実際に解いてみてください。解答時間は3分です。

…いかがだったでしょうか?

この解答で①「美」や②の「感覚」を選んだ生徒が難関大学に合格することは、残念ながらこのままではまずありえません。

その人は空欄補充の際に言葉を何となくいれているにすぎないからです。

難関大学に受かる生徒は下記のように頭を働かせ、解答の根拠を探り出します。

空欄Aの実質的な主語に当たる「足利幕府」「武力」「政治力」の言い換えであり、「資本主義のもとで君臨する企業」「経済力」の言い換えです。

動詞に当たる「洗練されたイメージへと変換させて用いたいという希求」とイコールなのが「感覚的な洗練としての美を欲する」です。

(① 洗練されたイメージ=感覚的な洗練としての美 ② 希求=欲する)です。

変換という言葉はA→Bへの変化を意味する日本語です。

その変化後のBに当たるのが「洗練されたイメージとしての美」である以上、Aに当たるのは「力」でしかありえないのがわかるでしょう。

時の権力者は「力」を拭って「洗練されたイメージとしての美」に変換したいのです。

つまり、この入試問題を作った出題者である大学教授は「消去法で解くことを何ら想定していない」のであり、この問題を消去で解いた方は、「消去できようのない選択肢を強引に消去している」ので、大学が求める水準の「現代文の考え方」が身についていないのです。

この状態でやみくもに問題演習を続けても、「穴の空きまくったバケツで水汲んで風呂桶をいっぱいにする作業をしている」ようなもので、「いくら問題演習を積んでも効果が上がらない」という悲惨な状態になりかねないのです。

新塾では上記のような数々の穴を事前にふさぎつつ授業を行います。だからこそ、生徒の国語が伸びるのです。

古文

現代文に少し力を入れすぎてしまったので、スペースが少ないですが、古文は圧倒的にまず古典文法が重要です。

ただ、この古典文法がほとんどすらすら出てくる人はいません。
試しに簡単な問題を見てみましょう

①花咲かぬ
②花咲きぬ

①は「咲か」と未然形につく「ぬ」なので「打消」。だから「花が咲かない」

②は「咲き」と連用形につく「ぬ」なので「完了」。だから「花が咲いた」

たった一文字違うだけで、意味が大違いですね。

本番ではこのような処理を一瞬でできるまで鍛え上げなければ、未知の文章を時間内に解くことはできません。

ただ、問題は「開成、麻布などの超難関校の生徒でも学校の授業だけで古典文法を使いこなせるようになっている人はほとんどいない」ということです。

なぜかというと、「古典文法の膨大な知識を自力でアウトプット」できるレベルでないと「使いこなす」ことはできないからです。

それは「音楽を演奏する人が楽譜をすべて読めなければ、正しく音を奏でられない」のと同じようなものです。

そこで新塾では、130ページある文法テキストをたった9ページの問題に集約しております。

→古文 復習テスト 改訂版【問題】はコチラ

→古文 復習テスト 改訂版【解答】はコチラ

この9ページの問題をスラスラできるまで反復することで、130ページのテキストの9割程度頭に入った状態になります。そうすると見違えるほど古文が読めるようになるのです。

漢文

漢文も古典と同じく文法が最も基礎的な力となります。

異言語を学ぶ際に文法が曖昧だと、なんとなくの会話や読解しかできず、大学入試との相性はかなり悪いです。

漢文も英語と同じように、SVOCがあり、まずこれをと学んでいきます。

古文に比べると大して量もないので、1時間程度で派生分野まで終わります。

①我食
②食我

では漢文は意味が全く異なるのですが、この違いをご存じでしょうか?

①については最初に出てくる名詞は原則として主語なので、「我」が主語、「食」が動詞となりますので、①我 食 「私が(食事などを)食べる」となります。

②については、動詞の後にくる名詞は目的語(~を)か補語(~に、~と、~より)が原則です。

今回は「食」が動詞、「我」が目的語となるので、②食 我「(虎などが)私を食べる」

全然違いますね!

漢文の文法の威力はすさまじく、慣れてくると次のような問題が本文なしでも100%の確信をもって解けるようになります。

問題 傍線部「上案図以昭君行」の書き下し文としてもっとも適切なものを、次の1〜4の中から1つ選んで、マークしなさい

1 上、図を以て案ずるに昭君を行かしむ
2 上、図を以て昭君を行かしめんと案ず
3 上、図を案じて昭君を以て行かしめんとす
4 上、図を案するを以て昭君を行かしめんとす

説明は省略しますが、答えは「3」です。皆さんもこのレベルになって漢文を得意科目にしてくださいね!

ここまで書いておわかりになるかと思いますが、以上のような情報を問題集や参考書を通して、自力で上げるのはかなりしんどい作業となります。

塾では問題集や参考書の重要情報をさらに抽出して教えるので、短時間で効果の高い学習が可能となります。

一度しかない受験で、大切な時間を無駄にしたくないみなさんは、信頼できる塾や予備校に一度ご相談されるのもよいかもしれません。

この記事がみなさまのお役に立てることを願っております。

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