物理の強み

式の意味を理解し、知識と知識を線でつなげる

「物理は覚える量が少ないから暗記が苦手な人にオススメ!」と言われて物理を選択した方も多いのではないでしょうか。

確かに、ほかの教科と比べて覚えなければならないこと自体は少ないと言えるでしょう。

また高校生のみなさんが、「物理は覚えることが少ない分、しっかり理解することが大切だ!」という意識をもって勉強に挑戦されていることもよく知っているつもりです。

しかし、高校生に聞いてみると、「公式をしっかり理解した上で覚えて、問題演習をかなり量をこなしたのに、偏差値が50台なんです…」と悩んだ末に受講される方が大変多いです。

「入試問題は、公式を理解した上でしっかり覚えて使えるようにした後、演習量をこなせば対応できる」という発想は非常に正しいものです。完璧とまで言っていいと思います。

ただ、式の意味を理解し、自分のものとして使える」というレベルに自力でたどりつくのはそれなりのハードルがあります。

「理解、もしくは自分のものとして使える」に至らないまま演習を重ねてしまっているケースがあります。

この記事を読んでくださっているあなたが「公式を理解した上で使いこなしているか」を判断できる簡単な例題を用意しました。ほとんどの方はすでに知ってる知識で解ける問題です。

初速度2 m/sで進む物体が、加速度1 m/s2で等加速度運動するとき、速度6 m/sになるまでに移動する距離を求めよ。

等加速度運動の公式を使って、速度6 m/sになるまでにかかる時間は4 s、その間に移動する距離を計算すると……16 m。というように答えを出したかもしれません。

もちろん答えは正解ですがこのやり方で解いた方は、相当程度の確率で入試問題に対応できなくなると思います。

物理画像式

逆にしっかり公式の意味を理解できている方は、迷わず(3)を使ってすぐに同じ答えを出せます。

最初のやり方で解いた方は、(1)と(2)を組み合わせて解答を出しましたね。

そして、(1)と(2)から導出されるのが(3)です。(3)と、(1)&(2)との大きな違いは、「式に時間tが含まれない」ことです。

したがって、「ある位置(速度)での速度(位置)を知りたいが、いつそうなるのかを知る必要はないときに使う、vxの関係式」が、(3)の意味です。

上の問題では、速度6 m/sになる時刻は聞かれていないので、(3)を使うとすぐに解答できる、というわけです。

上記3つの公式は、「物理の一番初めに習う、超重要公式」であることはよくご存じだと思います。

ただ、自分一人の勉強で上記のように公式の意味を理解する必然性を感じ、使いこなせるまで努力できる人はかなり少数になってしまいます。

入試問題の物理にもつまずかずにどんどん成績を上げる人は、上記のような公式の意味を理解し、およびその使い方までしっかり身についています。

「答えが求まるなら、そんな些細な違いなんていいじゃないか」と思われるかもしれません。

確かにこの問題で(3)を使えるか使えないかはそれほど大きな違いにはなりませんが、実際の入試問題になると、式の形だけを暗記していても、「どんなときに使う式か」を理解しておかなければ解くことはできません。

その差が、この最も基本的な公式の運用ですでにある程度分かれてきてしまっているのが物理の怖いところといえるでしょう。

ではどうすれば、上記のような落とし穴に落ちずに済むのか?

自身の話になってしまい恐縮ですが、東大の教授の物理学の講義を聞いている時は、「なるほど。よくわかった」という印象を持っていても、実際のテストでは「あれっ…ここ理解してたはずなのに…」と問題が解けないケースが多々あります。

何が言いたいというと、物理は、「授業中に聞いた話を理解できる」と「それを実際に使える」ということにかなり差がある科目だということです!

それは皆さんも先ほどの問題を通じてある程度実感いただけたかと思います。

そこでで授業では、皆さんにも、実際に手を動かして覚えるべき式を導出し、家に帰ったらもう一度、何も見ないで導出できるようにする、という作業を大切にしています。

式を深く理解するために最も効率の良い方法ですので、決してムダではありません。

それを繰り返すうちに、別々に覚えていた公式が実は関係しあっていることに気づき、自分の武器として使えるようになるのです。

これがタイトルにも書きました超重要なことで、「式の意味を理解し、知識と知識を線でつなげる」ことができるようになれば、入試問題の物理はおそるるに足りません。

その意味では物理は「超解ける人」「全然解けない人」に分かれやすい科目です。

みなさんは上記のような事態を未然に防ぎ、成績を伸ばす方向に進んでいってほしいと思っています。

②ごまかさず、正確に物理を学ぶ

正しい知識理解、運用の確認ができたので、今度は実際の入試問題を見てみましょう。京都大学2016年IIの問題の一部です。

物理画像式2

「……ナンジャコリャワケワカラン……」と戸惑うかもしれません。

それは現時点では仕方がないので大丈夫です。

ただ、これが「ワケワカラン」となってしまう大きな理由は、高校物理では微分・積分を使わないことになっているのですが、実はこの問題でやっていることは微分とほとんど同じだということです。

最上位の大学の入試問題では、微分・積分の知識を背景にした問題が出題されることも少なくありません。

高校物理では「微分・積分」を使わないことになっている、と言いましたが、物理学を微分・積分なしに語ることはできません。

高校生の教科書や入試問題は、微分・積分という操作と同じことをやっているにもかかわらず、それには触れず、少々ごまかして作られているのです。

私の授業では、難関大を目指す生徒や優秀な生徒には、その点をごまかさず、背景にある正確な理論を丁寧に教えることを意識しています。

上の京都大学の問題は少し極端な例ではありますが、入試問題の背景にある「正確な物理学」を知っておくことで、入試問題の見通しが一気に広がります。

「教科書以上のことなんて難しそう……」と思うかもしれませんが、ご安心ください。

授業で使うテキストでは、このような発展的な内容は、基礎的な内容とはっきり区別して書いてありますので、学習が進んだらまた戻ってくればよいのです。

③一番大切なこと.物理を楽しむ

物理の勉強を、学校の定期テスト前にとりあえずがんばって理解をしつつ、公式を詰め込んで、それを問題文に当てはめる……といった勉強しかしていないと、「物理はなんだか味気ない科目だな。問題を解くためだけに公式覚えてるみたい」そんな感想を持ってしまうかもしれません。

私の授業では、まずは物理を好きになることを目標とします。

というより、私が授業をしている理由の98%はそれです。

みんなに物理を好きになってほしいんだ!!

というわけで、ここで一つ、私が初回の授業で必ずする、物理の面白さを伝えるお話をさせてくださいお願いします。

ほとんどの方は、ニュートンという人物の名前をご存じでしょう。

リンゴが木から落ちるのを見て万有引力を発見した、なんてエピソードも有名です。

でも、少し考えてみてください。

木からリンゴが落ちるのを見て、「これは地球と木が引かれあっている」と主張したニュートンは、一体何がすごいのでしょうか?

答えは、「ニュートンは、木からリンゴが落ちるという現象と、月はずっと空にあって地球に落ちてこないという現象を、同じ法則で説明した」ことです。

身近な言葉でいえば、「落ちる」「浮かぶ」という全然違う現象なのに、同じ法則が働いているんですよ!!すごくないですか!?

身近な現象も、宇宙で起きている現象も、「運動方程式」という一つの理論で説明できてしまうのです。

どうでしょうか?ワクワクしてきませんか?ありがとうございます。きっとワクワクを感じてくれましたね。

ニュートン

私の授業には、このように物理を身近に感じ、楽しんでもらえるようなお話をたくさん詰め込んでいます。楽しんで勉強することが、成績UPの一番の近道です。

物理はこんなに面白い!!私としては、これは客観的な事実だと思っておりますが、なかなかそれを実感できる高校生が少ないことをもどかしく思っています。

ごまかさずに正確に物理を学び、様々な知識が回路でつながれていく…そうして点数が上がる中で、みなさんにも「物理はこんなに面白い!!」と思っていただけるよう、授業をしていきます。

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